インドツアー2012 スタッフレポ#12

<ツアーを通じての感想:2回目のインドで思うこと>

 

私は2011年夏にインドを訪問して以来、今回が2回目のインド訪問だった。

前回は私にとって初めてのインドであり、滞在期間も5日程度と短かったため、インドのエネルギーに圧倒されて終わった感があるが、今回は2回目の訪問であり、余裕を持ってインドを満喫し、大いに楽しむことができた。また、参加者数が大幅に増えたため、多くの人と意見交換ができたのも有意義だった。

ここでは、ツアー全体を通じて、心に残ったことを何点か書いておきたい。GAIAの公式見解と関係なく、あくまで私の個人的な感想である。また、アカデミックな観点から見れば見当はずれな記述もあるかもしれないが、なにぶん学生であるので、どうかご容赦願いたい。

 

まず最初に、本ツアーの目玉とも言えるノートプロジェクトに関してである。

ノートプロジェクトでは、日本の小学生からのメッセージ付きノートを配るために、農村、スラムを中心に、インド各地の小学校を訪問した。

 

 

小学校の訪問を終えた後で耳に入ってきた、次のような言葉が心に残っている。

「楽しそうだけど…私たち何もしてあげられなくて…可哀そう」

もともと本ツアーは、「インドと日本の間に、お互いを故郷と思えるような関係を作りたい」ということで始まったものであり、その理想とする関係は言うまでもなく対等である。ノートプロジェクトも、インドの小学生に日本のことを少しでも知ってもらうために始めたものにすぎない。従って、日本がインドに「してあげる」とか、「可哀そう」とか、そういった(言葉が悪いかもしれないが)上から目線のスタンスではない。

 

 

 

 

そういった建前と現実とのジレンマを感じたのが、上記の言葉を聞いた時であった。確かに、ほとんどの人は、私たちが今回訪問したインドの小学校は、(少なくとも物質的な面で)日本の学校より遅れていると感じたはずである(「遅れている」ことを問題だと考えること自体が日本人の価値観だが)。私自身、可哀そうとか、そういった「上から目線の」感情を全く感じないかと言われれば、ウソになる。まして初めてインドを訪れる参加者が、まず第一に「可哀そう」という感情を持つのは、ごく自然なこととも言える。

 

ただもちろん、日本がインドに何かを「してあげる」としても、その際には極力相手に寄り添って、その気持ち・ニーズを理解することが必要であり、「上から目線の」支援では自己満足に終わってしまう可能性もある。現状を直視しつつも、やはり私たちが掲げた「対等」という建前、それを志向することはやめてはいけないのだと感じた。

 

 

次に印象的だったのは、スラムの訪問だった。前回は訪問することができなかったが、今回はムンバイにおいて、世界最大とされるスラムを含め、2か所のスラムを訪問することができた。

私は当初、スラムというと、不潔で、危険で、着くや否や沢山の物乞いが集まってくるというイメージを持っていた。極論すれば、ある種北斗の拳に出てくるような殺伐とした世界を想像していた。

 

しかし、実際は随分違うなあという印象を受けた。もちろん衛生状態は悪いのだが、市街地と違って物乞いには全く出逢わなかったし(多くの人が珍しがって話しかけには来たが)、笑顔があふれ、想像していたような暗さはなかった(それでも治安が悪いのは言うまでもないが)




 

 

その理由は、人とのつながりとか、コミュニティとかいう言葉に求められるのだと思う。

考えてみれば当たり前のことだが、スラムはスラムで、立派なコミュニティとして成り立っている。学校や病院を持ち、家族や隣人同士で、お互い助け合いながら生活している。日本のような優れたインフラはなくとも、ともかく彼らは一人でなく、多くの仲間に囲まれて生活している。

 

 

 

これは逆に、今の日本社会が失いつつあるものだと思った。日本では、経済の疲弊、ライフスタイルの多様化等に伴って、地域コミュニティの弱体化が進行し、孤独死などの深刻な問題が発生していると言われている。

これから、インドは着実に発展の道をたどり、所得も向上し、上記のスラムのような地域も整備されていくはずである。貧困から抜け出すのは素晴らしいことである。ただ、発展を遂げた後も、上記のような地域の絆、家族の絆、人の絆は保って欲しい、日本と同じ道は辿らないでほしい、と思った。


 

最後に、大学生との交流についても書いておきたい。ツアーを通じて何度かあったインドの大学生との交流企画では、結婚観などの身近な価値観の話から、宗教、日本の自殺問題といった社会問題等、様々な話題について議論した。こういった議論を通して、日本人とインド人の価値観の違いを知ることができ、とても有意義だった。


 

 

個人的に印象に残ったのが、インド側参加者の「多くの日本人が宗教を信仰しないということが理解できない。自分の中に宗教と言う柱がなくて大丈夫なのか。逆にそれはどんな気持ちなのか」という発言であった。現代でもカーストが根強く社会に影響を与えていると言われるインドであるが、インド人の宗教に対する思い、また世界から見た日本人の特殊性を改めて感じた。

 

私の感想は以上である。

この場を借りて、ツアーを支えて下さった皆様、参加して下さった参加者の皆様に心よりお礼を申し上げたい。

 

(文責:大原育明)

 

 

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